最近の研究で、炎症サイトカインと睡眠に関係しているということがわかってきました。
炎症サイトカイン
炎症サイトカインは、免疫系のタンパク質で、炎症を引き起こす役割を果たします。炎症が起こると、免疫細胞がこれらのタンパク質を放出し、血管を拡張して組織修復や病原体の排除を促進します。
通常、外傷、感染、アレルギー反応などの炎症が引き起こされるときに放出されます。具体的には、体が外部からの侵入物質(例:細菌、ウイルス)や損傷された組織に反応して、免疫細胞が活性化されます。この活性化により、炎症サイトカインが放出され、炎症反応が始まります。
つまり炎症サイトカインは免疫反応であり、身体を守っている。
しかし、これが過剰になると睡眠の質が下がってしまうようです。
不眠症の方は、この炎症サイトカインの調節不全になっている可能性があります。
施術の専門的な話になってきますが、
2023年に出された論文により、免疫の調整のために《背部兪穴》という、
背中のツボを使って鍼をうつとサイトカインの調節に良い、というデータがあります。
これにより、睡眠中の迷走神経の反応性を改善して、副交感神経活動を増加させることが示唆されています。
つまり、過剰な興奮状態を落ち着け、眠りやすくする。
当院が得意とする皮下組織や筋膜におこなうやさしい繊細な鍼刺激でアプローチできるわけです。
そして、頭皮への電気を流す鍼もおこないます。
顔を含む頭部には、三叉神経という脳神経が支配している領域があり、そこを刺激することによって脳血流量がUPするという研究があります。
不眠や疲労感の多い方は、前頭前野の脳血流量の低下がみられているようで、鍼刺激で血流をUPさせていくことが狙いです。
このように、不眠にお悩みの方に対して鍼灸にしかできないアプローチがありますが、大切なのはこれらの治療だけでなく、
・身体の不調はないか(肩こりや腰痛など)
・睡眠衛生環境は良いか
・睡眠習慣は良いか
・心理的要因はないか
などといったこともとても大切になります。
なんでもそうですが、なにか一つのことで改善する、といった考えでなく、
総合的にお身体を良くしていく気持ちが大切だと思っています。
睡眠に関しての最新の情報は、睡眠研究の世界的権威である柳沢 正史教授の話がとても勉強になりますのでYouTubeなどで検索されてみてください。
現代は、働く人の8割は睡眠に問題を抱えていると言われています。
睡眠は人生の質を左右します。
1人で戦う必要はありません。当院と一緒に少しづつ前進できるように改善していきましょう。